今注目のモルドバワインとは?モルドバの産地や生産者、ワイン法について解説

アグリワイン×毎日ワイン食堂

みなさんこんにちは!毎日ワイン食堂ソムリエのひかるです。

当サイトに来ていただいてありがとうございます!

私はワインを楽しく伝えるワインコミュニケーターとして活動しています。

今日はお手伝いをしているアグリ株式会社さんとのコラボレーションの第5弾!

ワイン初心者でも楽しめるワインの知識をわかりやすく楽しくお伝えします。

アグリさんは現地から直接仕入れることで高品質で低価格なワインを輸入されているので

ワイン初心者の強い味方です!

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アグリ株式会社さんの公式HPはこちらから

ワイン生産国は世界中にあります。しかし様々な国のワインが飲める国はあまりありません。日本はそのなかでも入手できる外国産ワインがひと際多くあります。

珍しいワインを味わってみたい。そんな願いが実現する素晴らしい環境なんですね。

今日はアグリ株式会社さん主催のモルドバワインのセミナーに参加しました。

モルドバワインの輸入量国内トップシェアを誇るアグリ株式会社。

講師に迎えたのは、遠藤エレナさん。モルドバ農業省管轄のモルドバ・ブドウ・ワイン協会の日本代表を務め、“モルドバワイン・ブランド・アンバサダー”として活躍されています。

ソムリエ教本のモルドバの章を執筆されている「モルドバワイン」のスペシャリストです。

前回に続きモルドバワインの産地や生産者についても詳しくお伝えします!

ひかる
ひかる

今日はモルドバのワインセミナーの2回目!

よしこ
よしこ

楽しみだわ!!

地理的表示・ワイン法

「モルドバでは他国の地理的名称 を無断で使用する不正表示が横行する時代がありました。その悪習を徐々に改革していった歴史があります。」

EUとの連携協定を結び規制を強化した結果、現在では知的財産権の意識も高まり、モルドバワインの地理的名称も保護されるようになりました。

モルドバの主な産地

国土の標高は高いところでも400m程度で全体的になだらかです。

高低差はあまりなく、平均気温や雨量も地方による極端な差はありません。各地とも気候は安定しており、日照量も多く、9月の収穫の時期まで晴天が続きます。

10月第1週のワイン祭りを境目に、雨が多く寒さの厳しい冬がやってきます。

一方、土壌や歴史的な背景が産地に大きな影響を与えています。

コドゥル

この地方の土壌の約62%が肥沃な黒土で覆われています。モルドバではこの黒土を「チェルノーゼム」と呼んでいます。それ以外は褐色または灰色の森林土壌です。

全体的に腐葉土が多く肥沃な土地で、育つブドウはフルーティーでふくよかなワインができ

他の産地に比べるとやや冷涼なので、白ワイン品種やピノ・ノワールの栽培に適しています。

シュテファン・ヴォダ

古い資料では「チェルノーゼム」土壌と表記がありますが、実際はフランスのボルドーによく似た鉄分の多い粘土と砂交じりのローム土壌。

黒海の影響を受ける温暖な気候もボルドーと似ています。

19世紀にはフランスの専門家が目を付けていた地域でもあり、国際品種のメルローやカベルネ・ソーヴィニョンの栽培に適しています。

ヴァルル・ルイ・トラヤン

北部はコドゥルの森の続きで「チェルノーゼム」土壌、南部は粘土質の強いローム土壌が主です。黒海、地中海の影響を受ける温暖な気候。栽培は黒ブドウが中心です。

主な地元ブドウ品種

白ワイン用品種は、華やかな芳香を特徴とするアロマティック品種がほとんどです。違う品種をかけ合わせた交配品種が多く、その中でも特殊なハイブリッド品種(※)が多く造られています。樽醸造はほとんど行われないので、クリーンな味わいは和食とも相性がいいですね。

一方、赤ワイン用品種にはハイブリッド品種(※)はほとんどありません。土壌の良さが感じられる力強くコクのあるワインが生まれます。

ハイブリッド種とは?

別名クォーター・ハイブリッド品種と呼ばれ、ヨーロッパ系ブドウのヴィニフェラ種と欧米系交配品種をさらに交配。オフ・フレーバーとよばれる好ましくない香りがなく、病害虫に強いという特徴があります。

白ワイン用ブドウ品種

フェテアスカ・アルバ(白い乙女)

古くからモルドバにある品種です。香りも良く酸味がきれい。とても繊細な味わいを持っています。モルドバでは約4,000ha栽培されており、他の地元品種と並べて増殖計画が進んでるブドウ。最近ではシャンパーニュ方式のスパークリングワインにも使われています。

フェテアスカ・レガーラ(高貴な乙女、または王家の乙女)

隣国ルーマニアで一番多く栽培されている白ワイン品種です。フレッシュで香りが豊かなアロマティック品種でボリュームのある味わいが特徴。「フランクシャ」と「フェテアスカ・アルバ」の自然交配です。

フェテアスカ・ アルバと混同され「フェテアスカ」という名称で括られていましたが、(以前は2種の区別なしでブレンドされることも多かった)現在ではそれぞれの特徴が重視され、それぞれ独立した単一品種のワインとして生産されることが多くなりました。

ヴィオリカ(ヴィオラ=スミレに由来する女性の名前)

モルドバの国立研究所で生まれたオリジナルのハイブリッド品種。

病気や寒さに耐性があり栽培しやすい上に収穫量も多く、高品質で味わいも安定しているため、モルドバ国内でも人気のある品種。マスカットのような芳香とシャープな酸味が特徴です。イタリア系品種のアレアティコとセイベルの交配。

フロリチカ(フローラ=お花。チカは女性名のあとにつける相性。〇〇ちゃんのようなニュアンス)

新しいハイブリット品種でドイツのリースリングとダティア・デ・サンヴァリエの交配。

ヴィオリカ同様、香りが良いのが特徴。

ひかる
ひかる

「名前のイメージ通り、チャーミングな香りと味わいのワインだそうです!」

赤ワイン用ブドウ品種

フェテアスカ・ネアグラ(黒い乙女)

旧モルドバ公国(ルーマニア含む)原産の品種。2000年代に一度絶滅しかけましたが復活し、現在では盛んに栽培されるようになりました。タンニン豊かな長期熟成に向きのフルボディワインになります。

ララ・ネアグラ(高貴な黒)

ピノ・ノワールやガメイのように、きれいな酸味と果実味を持つエレガントな品種。

黒い貴婦人と呼ばれることもあります。土壌が肥沃なモルドバのララ・ネアグラは、高級ワインとして扱われています。

ルーマニアではバベアスカ・ネアグラと呼ばれる

夜の警備を一晩抜け出した兵士が、許しを請うため、ワイン好きで知られる英雄シュテファン大公(在位:1457〜1504)にあるワインを献上しました。

そのワインは、トルコとの戦いで亡くなった息子に似ているからという理由で、老婦人からその兵士に贈られたもの。

大公はワインの味わいとエピソードに感銘を受け、原料となったブドウにバベアスカ「băbească」(老婦人)という名を授けたと言われています。

サペラヴィ(ジョージア語で染める、着色するの意味)

ジョージアが起源の古いブドウ品種。名前の通り、ワインは色が濃く味わいもスパイシーでパワフルです。

モルドバのサペラヴィはジョージア産に比べ、酸味がまろやかな印象があります。

フランス系ブドウ品種

モルドバではフランス系の品種も多く栽培されています。

その中でトップの栽培面積を誇るのはカベルネ・ソーヴィニヨン。主にコドゥルより南で栽培されています。メルローもモルドバの土壌と相性が良い品種です。良く熟した果実が育ち、ワインの味わいにはコクと深みがあります。ピノ・ノワールも質が高く、海外向けに栽培されています。

白ワインでは、ソーヴィニヨン・ブランシャルドネが主な生産品種となっています。

かつてはアリゴテも栽培されていましたが、今では栽培量は減っているようです。

モルドバでは、国際品種の栽培も地元品種同様、力を注いでいます。

モルドバの自家製ワイン&食文化

モルドバでは自家製ワイン造りも盛んで、各家庭には地下貯蔵室があります。

驚くことにモルドバでは、年間100リットル程度の自家製ワインづくりが許可されています!地下室にはワインの他、ピクルス、ジャムなど自家製の保存食がを貯蔵されています。

モルドバの家庭の料理はシンプルで、素材を活かした豊かな味わいが楽しめます。

野菜や肉の煮込み、スープやパイ、乳酸発酵の自家製ピクルスが定番。

内陸国なので鶏や豚などの肉料理が中心。牛や仔羊、ウサギなどはイースターなど特別な日に食べます。

魚料理は鯉やナマズなど淡水魚が中心。オーブン焼きやコーンミール(トウモロコシの粉)をまぶしてカリッと焼いたムニエルなどが代表的です。

モルドバ料理はギリシャやトルコの影響を受けており、サワークリームをたっぷり添えるのがモルドバ流です。チーズはギリシャのフェタに似た、山羊、羊、牛乳のフレッシュ系がほとんどです。

モルドバの家庭では伝統的な風習で、客人をもてなす為に特別な部屋に案内します。

家族のお祝いなどをするための部屋でCasa Mareカーサ・マーレと言います。この部屋で家庭料理でもてなされるようです。

モルドバの主なワイン生産者とおすすめワイン

ラダチーニ ワインズ

高品質で安定したワインを造る大手メーカー。確かな技術で生産される多彩なラインアップのワインは大変コストパフォーマンスに優れ、モルドバ国内でも高い人気を誇ります。

合計約1000ha以上の畑を所有し、全てのワイン用ブドウを自社で栽培しており、ブドウはほとんどが手摘みで収穫されています。

ラダチーニ・フィオーリ・ヴィオリカ(コドゥル)

RADACINI FIORI VIORICA

ヴィオリカは1969年にモルドバで誕生し1990年に登録されたセイベルとアレアティコの交配種。モルドバの厳しい気候に耐えうるよう生み出された品種で、しっかり者のモルドバ女性をイメージしています。(ヴィオリカはモルドバの女性に多い名前)
バラやリンゴ、アカシアの花のフローラルな香り、森や草のニュアンス、さわやかな酸味が特徴のワインを生み出します。

テイスティングコメント

グリーンの輝きを持つ明るいイエロー・カラー。ライチやアカシアの花、モモやアンズ、カリンジャムの甘い香り。口当たりフレッシュでシトラスの風味がさわやか。その後、特徴的なライチの風味が口いっぱいに広がり、少しエキゾチックな印象を残します。エレガントでバランスのとれた、心地よい余韻が後を引きます。

相性の良い料理

魚介類、チキン、ソフトな味わいのチーズ、デザートと。

原産国モルドバ
地域/産地(格付)コドゥル
色/味わい(甘辛)白/やや辛口
タイプ(ボディ)ライトボディ~ミディアムボディ 
飲み頃温度8~10℃
ブドウの品種ヴィオリカ
参考価格¥1,600

エレナさんのテイスティングコメント

「香り豊かでわかりやすい味わい。アカシア、ジャスミンの香り。甘いマルメロ(カリンに似た果物)の風味。あざやかな酸味、さわやかで軽快。このランクのワインとしては非常にコスパが良い。」

アグリ株式会社 公式HP

ラダチーニ・メルロー(ヴァルル・ルイ・トラヤン)

RADACINI MERLOT

一番搾りのジュースを使用。若々しい風味に富んだフレッシュでピュアな味わいは、赤ワイン初心者にもおススメです!

テイスティングコメント

ルビー・レッドの色合い。完熟プラムやサワーチェリーのフレッシュでジューシーなアロマ。口当たりはソフトで豊かな果実味が口いっぱいに広がります。シルクのようにきめ細やかなタンニン、おいしさがストレートに伝わるピュアな味わいです。

相性の良い料理

バーベキューやハンバーグなどカジュアルな肉料理、マイルドなチーズと。軽く冷やしてもおいしいワインです。

原産国モルドバ
地域/産地(格付)ヴァルル・ルイ・トラヤン
色/味わい(甘辛)白/やや辛口
タイプ(ボディ)ミディアムボディ
飲み頃温度15~18℃
ブドウの品種メルロー
参考価格¥1,350

エレナさんのテスティングコメント

「カジュアルなメルローの中では品質が高く、グリーンノートが全くなく飲みやすい。熟したブラックチェリーの香り。メルロー由来のチョコレートのような甘く複雑な香り。」

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シャトー・プルカリ

モルドバでも歴史あるワイナリーで、ララ・ネアグラを代表とする高級ワインのトップメーカーです。

1878年のパリ万博のワインコンクールにおいて、ブラインド・テイスティングで名だたるボルドーワインを抑えて金賞に選ばれるという快挙を成し遂げた実力派のワインメーカー。

イギリス皇室の御用達ワインでもあります。

プルカリ1827 コレクション・ララ・ネアグラ

Purcari 1827 Collection Rara Neagra

日常生活から解放してくれる、優雅さと気品あふれるワイン。

テイスティングコメント

ザクロのシロップのような美しいルビー色。チェリー、レッドベリーの甘酸っぱい香りにチョコレートやプラムの香りがアクセントとなった複雑なアロマ。口当たりはビロードのようになめらかで、ブラックベリーやザクロ、スパイスの繊細な風味に満ち、洗練されたタンニンとジューシーな酸味とのバランスが絶妙です。ドライフルーツとバニラの甘く芳醇な味わいは、上質な樽香を漂わせる余韻へとなめらかに溶け込んでいきます。

相性の良い料理

ポークステーキや仔牛のカツレツ、野菜や肉のグリル

原産国モルドバ
地域/産地(格付)シュテファン・ヴォダ
色/味わい(甘辛)赤/辛口
タイプ(ボディ)ミディアムボディ
飲み頃温度18~20℃
ブドウの品種ララ・ネアグラ
参考価格¥3,000

エレナさんのテイスティングコメント

「ララ・ネアグラはピノやガメイに近い味わいなので。ブルゴーニュグラスで飲むのが好ましい。

ヴィンテージ2019はベリージャムを思わせる濃厚なタイプでしたが、このヴィンテージ2020は良く熟したイチゴやラズベリーの繊細な香り。樽も控えめでバランスがいい。フレッシュなイチゴをそのまま食べている感じ。タンニンは柔らかで飲みやすい。

ソフトな味わいのララ・ネアグラやメルローはシンプルな塩コショウ系の味付けが多いモルドバ料理に合わせやすい。ウナギやアナゴのお寿司にも合いそうですね。」 

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ランド・オブ・ベッサラビア

もともとは1965年にドイツからの移民が造ったワイナリーを、ガネア・グループが立て直しました。

ガネア・グループはモルドバやウクライナ、ギリシャなどでワインやハチミツの生産、レストラン事業など幅広く展開している企業グループです。

ランド・オブ・ベッサラビアのシリーズは、グループが経営するミシュラン星付きレストランでも提供されている高級ワインです。

ランド・オブ・ベッサラビア・コスモス・シャルドネ(シュテファン・ヴォダ)

「KOSMOS~宇宙の物語」
コスモス・シリーズは宇宙をイメージした全7章のストーリーとなっています。 

醸造家の自由な発想を宇宙への旅になぞらえ、「視線」「接触」「みんな一緒に」「我が家」「広がり」「真空」「連れ立って」の7つのストーリーで表現。開栓後の時間の経過や温度変化に従って、より深遠なワインの世界が広がります

Land of Basarabia Kosmos Casa Chardonnay

【我が家(カーサ) 宇宙船の窓辺に繋がれ浮遊する地球儀】

KOSMOSの果てしない旅の途中、舷窓から淡い青色の球体・・母なる地球の姿がチラッと見えようものなら・・たちまち心はそちらに引き寄せられてしまいます。宇宙の謎を自由気ままに探究しているときも、心の中のコンパスは常に“懐かしい我が家”の方角を指し示しているのです。

テイスティングコメント

明るい金色の輝き。香りは控えめですが、口に含むと豊かな果実味が広がり、味わいの厚みに圧倒されます。舌触りなめらかで酸味は穏やか、ほのかな樽香が全体を包み込み、まろやかで尖ったところがまったくありません。ほっこりとしたナッツの風味やハチミツを思わせる優しい甘みが素晴らしい余韻を残します。香りや味わいの層を一つ一つ確かめながら、じっくりと向き合いたくなるワイン。

相性の良い料理

白身魚のムニエルやソテー、クリーム系のソースと

原産国モルドバ
地域/産地(格付)IGPシュテファン・ヴォダ
色/味わい(甘辛)白/辛口
タイプ(ボディ)ミディアムボディ
飲み頃温度8~12℃
ブドウの品種シャルドネ
参考価格¥3,000

エレナさんのテイスティングコメント

「繊細、良く熟したシャルドネの香り、上品な樽の使い方が素晴らしい。カモミール、ボダイジュの花の香り、シュール・リーによるブリオッシュのような風味。酸味しっかり、全体的にバランス良くまろやか。後味にレモンの風味。

暖かい産地のシャルドネなので、収穫のタイミングを慎重に計って(完熟する一歩手前で収穫)繊細さとさわやかさを活かしていると思われる。」

アグリ株式会社 公式HP

モルドバワインってどんなワイン?他とどう違う?

遠藤エレナさんはモルドバワインが他と違うところを

「モルドバワインは繊細で舌に馴染みやすい。テロワールの良さのお陰で、苦労しなくてもバランスの良いおいしいワインが安価に生産できます」

と教えてくれました。

無理せず自然体で上質なワインができるので、農薬や化学肥料を極力使わないようにしているワイナリーが殆どです。大量生産を強いられた時代、農薬の大量使用で畑に大きなダメージを受けた苦い教訓を活かし、環境や人に優しいワインが造られるようになりました。

最後に

エレナさんは最後にこうセミナーを締めくくりました。

「モルドバは苦難の時代を潜り抜けてきました。ほとんど無名の国でしたが、現在は過去と決別し力強く前に進もうとしています。どうぞ現在のモルドバの良いところ、素晴らしいところに目を向けてください。そして日本の皆様にもっともっとモルドバという国と素晴らしいモルドバワインについて知っていただけるよう願っています。」

アグリ株式会社さんと一緒にこれからも、もっとモルドバワインを広めていきたいです。

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